人生の折り返し地点、45歳。 世の中では「学び直し」や「リスキリング」という言葉が飛び交っています。 「もっと知識を蓄えなければ」「新しい技術を習得しなければ」 そんな焦りを感じている同世代も多いはずです。
しかし、私はあえて逆の提案をしたい。 今、私たちがすべきは「学習」ではなく、**「学習放棄(アンラーニング)」**ではないかと。
脳内が「昔話」で埋まっていませんか?
私の周りにも、こんな上司がいます。 「昔、俺が若かった頃はもっとすごかった」 「あの時期に、伝説的な先輩がいてな……」
たまに聞く分には良いのですが、何度も繰り返されると、周囲は「へ〜、すごいですね……(またか)」と、心のシャッターを下ろしてしまいます。
彼らが悪いわけではありません。 ただ、「過去の成功体験」というデータが脳内にパンパンに詰まっていて、新しい情報を入れるスペースが1ミリも残っていないだけなのです。
昔の思い出でいっぱいの自分に酔いしれ、今の現実が見えていない。 正直に言って、私はそんな上司にはなりたくない。 過去の栄光を握りしめたまま、老いていくのはあまりにも寂しいからです。
AIに打ち砕かれた「20年の自負」
先日、仕事で衝撃的な出来事がありました。 会議の議事録作成についてです。
私にとっての議事録とは、会議中に必死にメモを取り、要点や決定事項を自分の頭で整理し、ファイルを作成して共有するもの。20年以上、それが「仕事のプロ」としての当たり前でした。
しかし、部下が見せてくれたのは全く違う景色でした。 WEB会議の文字起こしを自動で行い、そのファイルをAIに読み込ませる。 すると、ものの数秒で、私よりもはるかに完成度の高い、要点のまとまった議事録が出来上がっていたのです。
一瞬、複雑な感情が芽生えました。 「自分の20年間の苦労は何だったのか」と。 しかし、同時に気づきました。**「これこそが新しい仕事のやり方だ」**と。
もし私が「昔ながらの手法」に固執し、学習を放棄できていなければ、部下のこの素晴らしい効率化を「手抜きだ」と切り捨てていたかもしれません。自分の古い成功体験を捨てることで初めて、新しい時代のスピード感を自分のものにできるのだと痛感しました。
「教わる勇気」は「捨てる勇気」から
この「捨てる勇気」は、家庭でも試されます。 先日、妻の誕生日プレゼントを子供たちと用意した時もそうでした。
高2の娘のリサーチ力。中1の息子の損得勘定。 「お父さんはこう思う、昔はこうだった」というこだわりを捨て、彼らの新鮮な感性を100%信じてみる。 すると、自分一人では到底辿り着けなかった「妻が一番喜ぶ答え(ケーキと煎餅)」に辿り着けたのです。
新しいことを学ぶためには、まず、古い正解を「捨てる」こと。 「学習放棄」とは、決して学びをやめることではなく、 **「今の自分を空っぽにして、新しい風を通すスペースを作ること」**なのです。
学習放棄を実践するための「3つのマインドセット」
では、具体的にどうすれば「放棄」できるのか。 私が意識しているのは、以下の3点です。
① 「過去の自分」に敬語を使わない
昔の成功体験は、今の自分とは別人のものだと割り切ります。「あの時はすごかった自分」を崇めるのをやめ、今の自分を「レベル1の初心者」として再定義するのです。
② 最新技術を「ラクをする道具」ではなく「新しい目」と捉える
AIによる議事録作成を「手抜き」と見るか、「人間にしかできない創造的な仕事に時間を使うための翼」と見るか。古い価値観を捨てれば、テクノロジーは最強の味方になります。
③ 子供や部下を「未来の先生」と捉える
中高生の子供や、デジタルネイティブの部下は、私たちが知らない未来の常識を当たり前に持っています。「お父さん(私)に教えて」と素直に言える心の隙間を持つこと。それが、脳内のストレージを整理する一番の近道です。
5. 【今すぐできる】「学び捨て」と「効率化」の第一歩
今日からできる、あなたの「1.01」のアップデート。見栄を捨てて、新しい世界に触れてみませんか。
- 「当たり前」の作業を一つだけ、AIに相談してみる 「この文章を要約して」「このメールの返信案を考えて」。まずは小さなことからAIに任せ、浮いた時間で深呼吸を一つしてみましょう。
- 「自分にしかできない仕事」を再定義する その作業は、本当にあなたでなければいけませんか? 家族の幸せを願う心、子供の話を聴く姿勢。それだけは、どんなに優れたAIにも代替できません。
- 「今日は何時に帰るか」を、朝一番に自分に約束する 効率化のゴールを決めましょう。大切なのは、空いた時間にさらに仕事を詰め込むことではなく、家族の待つ家へ一秒でも早く帰ることです。
人生のおりかえし地点。あなたは余った時間を、誰の笑顔のために使いますか?


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