2月13日。妻がまたひとつ、歳を重ねました。 当日は仕事の波に飲まれ、十分なお祝いができませんでしたが、 昨日、ようやく「お父さん」「夫」としての任務を果たしてきました。
妻からのリクエストは、至ってシンプル。 「美味しいケーキと、煎餅の詰め合わせ」 長年連れ添ってきたからこそ分かる、飾らない、でも確かな「彼女の正解」です。
高2の娘とLINE、中1の息子と買い出し
この任務を遂行するにあたり、私には二人の頼もしい相棒がいました。 高2の娘と、中1の息子です。
部活で不在の娘とは、LINEで連携。 「お母さん、あのお店のあのケーキがいいって言ってたよ」 「煎餅は、こっちのセットの方が喜びそう」 女子高生の鋭い観察眼とリサーチ力に、私はただただ頷くばかり。
一方で、中1の息子とは二人で買い物へ。 「お父さん、こっちの方が美味しそうだよ」 「お父さん、これはちょっと渋すぎない?」 息子にリードされながら、妻の笑顔を想像して商品を選ぶ。 それは、会社でのどんな会議よりも真剣で、温かい時間でした。
会社では「押す」、家庭では「聞く」
この誕生日準備を通じて、私はふと自分を振り返りました。 会社での私と、家での私の「マネジメント」の違いについてです。
20数年のキャリアを積み、マネジメント層にいる会社での私は、 立場上、どうしても「自分の意見を押し出す場面」が多くなります。 それが仕事だと、どこかで割り切っている自分もいます。
しかし、一歩家に帰り、「お父さん」という役割に戻った時、 私は自然と、子供たちの意見を何よりも大切にしていることに気づきました。
「一緒に選ぶ」という共体験と、息子の成長
今回、特に印象深かったのは、中1の息子との買い出しでの一幕です。
同じような煎餅の詰め合わせを前に、どちらにするか迷っていた時。 息子が商品を手に取り、内容量と金額をじっと見比べていました。 「お父さん、こっちの方が枚数も多いし、1枚あたりの単価が安いからお得だよ」
算数的な計算だけでなく、限られた予算(私の財布ですが)の中で「より良い選択」をしようとする姿勢。 会社で言えば、コストパフォーマンスを意識した「賢い発注」そのものです。 結果、私たちは納得して「お得な方」を選択することができました。
「お父さんの手伝い」をしていたはずの息子が、いつの間にか一歩踏み込んで、自分で考えて判断を下している。 そんな彼の成長を間近で見られたことも、私にとっては嬉しい「誕生日プレゼント」のお裾分けでした。
「中高生を巻き込むチーム運営」3つのコツ
今回、思春期を迎えた子供たちと協力して「妻の誕生日」というミッションを遂行した中で、私が再確認した「役立つポイント」を3つにまとめました。
もし、かつての私のように「子供との距離感や、巻き込み方に悩んでいる」お父さんがいれば、ぜひ試してみてください。
① 「正解」を教えるのではなく「リサーチ」を任せる
中高生は、自分が必要とされていると感じた時に驚くほどの力を発揮します。「これを選んで」と指示するのではなく、「お母さんが一番喜ぶものを教えてほしい」と、彼らの観察眼を頼りにすること。これで、子供は「お父さんの手伝い」ではなく「プロジェクトの主役」に変わります。
② 娘とのLINEで見つけた「非対称なスピード感」
部活で忙しい高2の娘とは、プレゼントの相談をLINEで進めました。 そこで私が意識したのは、**「非対称なスピード感」**という心地よいルールです。
会社でのコミュニケーションは、スピードこそが正義。 即レスを求め、即レスで返すのが当たり前です。 しかし、思春期を生きる娘の世界は、部活や勉強、友人関係で秒刻みに動いています。
- 娘からの返信: 彼女のペースを尊重し、数時間後でも、夜遅くでも「いつでもいい」と構える。
- 私からの返信: 彼女から連絡が来たときは、一人の「相棒」として最優先で、感謝を込めて即レスを返す。
こちらからは急かさないけれど、相手が求めたときは全力で応える。 この「非対称なスピード」こそが、今の私と娘を繋ぐ、絶妙な距離感であることに気づきました。
【気づきのメモ】 相手の時間を奪わず、自分の誠実さだけを即座に差し出す。 会社でのマネジメントでも、実はこの「非対称さ」が部下との信頼を築く鍵になるのかもしれません。
③ 「一緒に選ぶ」というプロセスで判断を任せてみる
中1の息子との買い物でも、もうひとつの「気づき」がありました。 同じような煎餅の詰め合わせを前に、息子がじっと金額と内容量を見比べていたのです。
「お父さん、こっちの方が1枚あたりの単価が安いから、お得だよ」
ただの買い物のお手伝いではなく、予算の中で最善を選ぼうとする「当事者意識」。 会社で言えば、コスト意識を持った立派なプロジェクトメンバーです。 私の意見を押し付けるのではなく、彼の計算を信じて「よし、こっちにしよう」と決める。
「お父さん、いい買い物ができたね」
そう言って笑う息子の横顔に、またひとつ、頼もしい成長の跡を見つけることができました。
まとめ:人生の折り返し、学びは足元に
45歳。人生の折り返し地点。 会社では「教える立場」が増えますが、家庭では「教わる立場」に回ることも、また一興です。
「今さら、子供に教わるなんて」とプライドを張る時期は、もう過ぎました。 「今から、家族の声に耳を澄ませていこう」 そう思えるだけで、見える景色は変わります。
リクエスト通りのケーキと煎餅。 それを囲んで笑う妻と、作戦を共にした子供たち。 「お父さん、お疲れ様」という言葉が、今の私にとって最高の報酬です。
会社に依存せず、自立して家族を守る力をつける。 その旅路の土台にあるのは、こうした「小さな対話」の積み重ねなのだと、改めて心に刻んだ誕生日になりました。

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