「パパ、これ見て!」「あとでね、今忙しいから」
仕事に追われ、心の余裕を失っていた頃、私はこの言葉を何度繰り返してきたでしょうか。 ビジネスの世界では「即レス」や「期限厳守」を鉄の掟として自分に課しているのに、なぜ一番大切なはずの子供たちに対しては、簡単に「後回し」という甘えを許してしまっていたのか。
人生の折り返し地点を過ぎ、私は仕事の流儀である「凡事徹底」を、家庭の中にこそ持ち込むべきだと確信しました。今回は、私が今、子供たちとの関係で最も重視している「誠実さの積み重ね」についてお話しします。
1. 子供にとっての「今」は、二度と来ない「今」
ビジネスにおける「後回し」は効率を下げるだけですが、子供に対する「後回し」は、彼らの純粋な期待や、親への信頼を少しずつ削り取っていきます。
子供が「見てほしい」と思った瞬間、その好奇心や喜びは、まさに「今」この瞬間にしか存在しません。それを「あとで」という言葉で遮ることは、彼らの世界を否定することと同じではないか。そう気づいてから、私は**「子供への即レス」**を意識するようになりました。
- 手を止めて、顔を見て話を聴く。
- 「ちょっと待って」ではなく、「1分だけ待って、これが終わったらすぐ行くよ」と具体的に答える。
この数秒、数分の徹底が、子供にとっての「自分は大切にされている」という自己肯定感に繋がっていく。これは、どんな高価なプレゼントを贈るよりも価値のある「凡事徹底」だと考えています。
2. 小さな約束を「契約」のように守る
「今度、公園に行こうね」「いつか、これを買おうね」 そんな何気ない約束を、私たちはつい忘れたり、体調や仕事を理由に反故にしたりしがちです。
しかし、子供にとって親は「世界のすべて」です。親が約束を破ることは、子供にとって世界が裏切ることに等しい。私は、子供との約束を、ビジネスにおける**「重要な契約」**と同じ重さで捉えることに決めました。
- 一度口にした約束は、どんなに小さくても必ず守る。
- もしどうしても守れない事情ができた時は、誠心誠意謝り、代替案を提示する。
「パパは約束を守る人だ」という揺るぎない信頼。この土台があって初めて、子供が成長し、壁にぶつかった時、一番に相談してくれる関係性が築けるのだと信じています。
3. 「すぐやる」ことが、家族の空気を変える
家の中での「後回し」をなくすことは、家族全体のエネルギーを上げることにも繋がります。
- 頼まれた電球の交換を、すぐやる。
- 家族からのLINEに、仕事と同じスピードで返信する。
- 「後でやろう」と思っていた家事を、気づいた瞬間に片付ける。
仕事で成果を出す人が「スピード感」を大事にするように、家庭を円満にする人もまた、この「すぐやる精神」が不可欠です。 一つひとつの行動は些細なことかもしれません。しかし、その「淀みのない積み重ね(凡事徹底)」が、家庭内に明るい循環を生み出します。私がイキイキと「すぐやる」姿を見せることは、子供たちにとっても「行動することの大切さ」を学ぶ、生きた教育になると考えています。
結論:凡事徹底こそが、究極の「愛の形」
ドラマチックな出来事や、豪華な旅行が家族の絆を作るのではありません。 日々の、目立たない、誰も見ていないところでの「当たり前」をいかに誠実にやり抜くか。
- 後回しにしない。
- 約束を守る。
- 感謝を言葉にする。
この「心の凡事徹底」は、派手さはありません。しかし、15年前の後悔を背負い、これからの時間を宝物に変えたいと願う私にとって、これこそが一生をかけて磨き上げるべき「技術」だと思っています。
人生の後半戦。 会社員という肩書きを外した時、一人の「父親」として、そして「人間」として、子供たちの心の中に信頼という名の根を深く張っていたい。
今日も、目の前の小さな約束を全力で守ることから始めます。

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