気づけば、家の中で妻のことを「お母さん」や「ママ」と呼んでいませんか?
子供が生まれ、育児という名の共同プロジェクトに没頭してきた10数年。私たちは最高の「共同経営者(パパ・ママ)」にはなれましたが、その代償として「夫と妻」としての時間を少しずつ脇に置いてきたのかもしれません。
しかし、第1回でお話しした通り、子供たちはいずれ巣立ちます。その時、家に残るのは「パパとママ」ではなく、二人の男女です。
今回は、人生の後半戦を最高のものにするために、今から始めておきたい「妻への再会」について語ります。
1. 「役割」の仮面に隠れた、一人の女性として
40代の夫婦にとって、会話の9割が子供のこと、あるいは家の用事になりがちです。 「明日の塾の迎えは?」「トイレットペーパー切れてたよ」
こうした連絡事項は、生活を回すためには不可欠ですが、心を通わせる「対話」ではありません。妻は「家のマネージャー」である前に、あなたが好きになった一人の女性です。
忙しい日常の中で、彼女が最近何に笑い、何に不安を感じ、何を美しいと思ったか。それを知ろうとすることから、再会は始まります。
2. 「空の巣症候群」を笑って迎えるために
子供が自立した後に、夫婦の会話がなくなってしまう。いわゆる「空の巣(からのす)症候群」のリスクは、実は今、この瞬間の積み重ねで決まります。
「子供がいなくなったら、ゆっくり二人で旅行でも行こう」 そう言って先送りにしている間に、二人で過ごす「作法」を忘れてしまうのです。
30年後の二人のために、今から週に一度、あるいは月に一度、あえて「子供以外の話」をする15分を作ってみませんか?
3. 「ありがとう」を、言葉のプロトコルにしない
長年一緒にいると、「言わなくても分かっているだろう」という甘えが生じます。特に感謝の言葉は、頭の中で唱えて満足してしまいがちです。
- 毎日ご飯を作ってくれること。
- 子供たちの体調管理をしてくれていること。
- 自分が仕事に集中できる環境を支えてくれていること。
これらは決して「当たり前」ではありません。 「いつもありがとう」という言葉を、儀礼的な挨拶ではなく、心を込めた「プレゼント」として届ける。その一言が、乾きがちな夫婦の空気を一瞬で潤します。
4. 名前で呼ぶ、という小さな革命
もし許されるなら、家の中でも妻を名前で呼んでみてください。 最初はひどく照れくさいかもしれません。しかし、「ママ」ではなく名前で呼ばれた瞬間、彼女の中に眠っていた「自分自身」がふっと目を覚まします。
それは、あなた自身にとっても「一人の男性」としての自覚を取り戻す、小さな、けれど確かなきっかけになるはずです。
結びに:家族の土台は、二人の愛にある
家族というチームにとって、一番大切なエンジンは「夫婦の仲が良いこと」です。子供たちは、笑い合っているパパとママの姿を見て、世界は安全な場所だと確信し、安心して外へ飛び出していけます。
「子供のために」頑張る今のあなたに、もう一つだけ大切な仕事を。 それは、隣にいるパートナーを、世界で一番大切にすることです。
二人で過ごすこれからの長い旅路。その準備を、今日から始めてみませんか。

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